18歳成人で成人式はいつに?:「20歳(はたち)のつどい」が最適か
<2023年以降の成人式はいつ開催される?:おおよそ8~9割程度の自治体で20歳に据え置かれる。検討中の自治体も存在>
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が2018年6月13日に国会で可決した。2022年4月から施行される。「はれのひ」である20歳を祝う「成人式」はいつ開催されるべきだろうか。成人式と密接に関わる着物業界にとっても大きな課題となる。また成人式では、着物や振袖を着る人が多い。最近では、男性も着物(袴)を着る人が増えている。「成人式」は長く20歳で行われてきた文化的な慣習の意味も持っている。
18歳成人になる10代の若者のアンケートでも、成人式を二十歳に据え置く事を望む声が7割を超える結果となった。各地方自治体も聞き取りやアンケートを行っているが、おおむね同じような結果となっている。実際に式典をいつ行うかは、各地方自治体の判断となるが、おおよそ8~9割が「20歳のつどい」、「成人のつどい」などと式を命名し、20歳に据え置く事が主流となっている。気になる方は、参加予定の自治体のホームページなどを確認して頂きたい。(※2018年8月22日追記:神奈川県逗子市が民法改正後も式典を20歳に行う事を表明したことを追記、文中後半<各自治体の対応>を参照願いたい。)
実際に2018年は、1月8日が「成人の日」であったが、茨城県つくば市では1月7日に成人式が行われた。また宮城県の七ヶ宿町,色麻町,大崎市鳴子地区などでは、8月に成人式が行われている。
雪の多い地域では、利便性、安全性などを考慮し、夏に成人式を開催している自治体も多い。開催日時は地方自治体の判断となっている。
ここで仮に18歳に「成人式」が行われる際の課題を考えてみたい。
<18歳「成人式」の4つの課題>
1、1月は受験シーズン真っただ中である。
1月に開催される「成人式」が多いが、18歳の1月と言えば、受験シーズンである。受験前の追い込みの時期に「成人式」を開催すれば参加率が下がる事は、容易に予想できる。2017年には大学などへの進学率が5割をこえるなど多くの方が進学するようになっている。高校卒業、受験、専門学校や大学入学、就職など、18歳のこの時期は非常に忙しく、10代の当事者も20歳の据え置きでの開催希望が多い。
2、当事者・家族からの要望「20歳のままで式典を行ってほしい。」
2018年からこうした課題があったため、様々なアンケートが、色々な自治体で実施されている。当事者となる10代の若者の74%が20歳での開催を希望している。
関連記事:成人式20歳実施を74%の10代が希望:10代の意識調査
また大切に育ててきた子供の成長を祝う場としても「成人式」を楽しみにするご家族、特に親御さん、祖父母の方も多い。特にお嬢さんの振袖姿を楽しみにしている方もいる。
ご家族も成人式を体験している方も多く、成人式に良い思い出を持っている方も多いからだ。そうした方は、「受験シーズンでもあるので、落ち着いてお祝いができないから、20歳で行ってほしい。」という意見が多い。また受験費用や大学の入学式などお金がかかる時期でもある。お金がかさむ時期が重なるのは、保護者にとっても有難いものではない。
3、「成人」を祝うとともに、旧友との再会を祝い、旧交を温める場でもある
成人式は、20歳を迎える子供が大人になったことを祝う場であるとともに、小学校~高校までの旧友と再会の場を果たす同窓会の側面もある。18歳になれば、高校の友達は、「今」の友達である。再会を果たす喜びは半減する。
4、2022年度(2023年)は、18~20歳の3学年が合同で「成人式」を行うのか?
仮に2022年度から18歳で「成人式」を行うとなった場合、2023年の成人式がその対象となるであろう。では、2022年の段階で、19歳と20歳の方は、どうするのか?合同で3学年一気に「成人式」を行うのか?18~20歳の人が一気に集まる場合の交通機関、会場の手配の問題が浮上する。単純に考えると通年の3倍の会場が必要になるだろう。こうした会場の確保に大きな課題が残る。
娘さんの中には、「親には迷惑をかけたくないので、高校を卒業してから、自分でアルバイトをして振袖を買いたい(又はレンタルしたい)」という方もおられる。自分で働きながら、振袖を準備する方もおられるのだ。
また、実際に2022年度に「成人式」対象の年齢となる中学生や高校生、子供を持つ親御さんの中にはこうした声も聞かれる。
・「2022年度に19歳になるけど、私の成人式はどうなるの?」
・「妹と一緒に成人式に出る事になるのだろうか?」
・「大学の入学金とか振袖代とか親が大変だな」
・「うちの二つ違いの息子と娘が同時に成人式に出るのかな?それはそれで面白い」
・「2つ違いの兄弟が同時に『成人式』に出るなんて、なんか変」
など。実際にその年に『成人式』を迎えるであろう当事者や家族の中で話題となっている。
<各自治体の対応:「はたちのつどい」という名称を使うところもある。文化的慣習の意味合い>
実際に、会場の問題や3学年が同時に開催される際の混雑などの問題も踏まえて、平成30年には、「はたちのつどい」という名称を使っている自治体もある。東京都新宿区、文京区、葛飾区や、神奈川県相模原市、福井市、厚木市、北海道千歳市、大阪府枚方市などだ。「二十歳」という区切りの良いはれのひを祝う風習、文化的な慣習の意味合いもある。京都市は「はたちを祝う記念式典」としている。
また、神奈川県逗子市役所は、18歳成人の民法改正後も、「20歳を祝う成人の集い」として、20歳に式典を開催する事をいち早く表明した。18歳が高校を卒業し、進路に関わる大切な時期である事から、教育的な配慮にて決定したものである。逗子市が民法改正後も20歳に式典を行う事を表明
<成人式の発祥>
今日の成人式の形態は、第二次大戦後間もない、1946年埼玉県の蕨市(わらびし)によってはじめられたものである。敗戦直後の落ち込んだ青年を励まし、希望を与えるために行われたこの式典が全国に波及し、現在の形になっている。こうして「青年を祝いはげます」という趣旨のもと、この風習、式典は70年以上も続いている。
「発祥の経緯も踏まえて、『二十歳』で祝う式典として70年以上も続いてきた文化的意味合い、価値もあり、20歳のままで祝いたい」という意見もある。
また飲酒や喫煙が健康への配慮から20歳未満は廃止のままである。飲酒などの規制が解禁となる20歳のままで「はたちのつどい」を行う事に合理性があると考えられるがいかがであろうか。
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