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着物業界ランキング掲載「着物年鑑2018」

着物業界ランキングを掲載する「着物年鑑2018」:今年の着物業界の動向

着物業界の市場規模、着物業界大手のナショナルチェーン、専門店、百貨店、ネット通販、リサイクル、量販店、レンタル着物の比率なども掲載。着物業界の現状、課題を知ることができる一冊となる。

着物年鑑2018をもとに、2018年11月までの着物業界の動向を要約する。

<2018年 着物業界の動向:フォーマル品・浴衣のレンタル化が進む>

今年度も大型の合併・M&Aが行われた年となった。代表的な事例では、さが美グループホールディングス株式会社が、株式会社ベルーナのグループ会社になった。再編・統合は今後も進むが、小売業では新規参入も進んでいるなど、新しい会社・新しいスタイルも生まれている。

また浴衣・フォーマル着(訪問着・留袖)のレンタル化が進んでいる事も特徴的である。ネット販売の環境もより洗練され、BtoCのみならず、CtoCによる商品流通が進んでいる点も見過ごせない。

1、正絹フォーマル苦戦・非正絹カジュアル健闘

一般的な着物専門店が取り扱う正絹フォーマルは苦戦。各産地の生産数量は低下している。

業界で言われるボリュームゾーン(30万円前後)の商品は、アパレル業界から見れば高級品であり客足が遠のいている。またフォーマル品よりもカジュアル品(まち着、お洒落着)に需要がある。手軽に買える商品群として、着物ファンには、小紋、色無地、紬などの商品が人気である。

また着物ファンが実際に着て出かける事が増えており、「洗える着物」へのニーズは高まっている。そして催事客の高齢化は、常にこの業界の課題である。手作りの作品がなかなか売れないという事は着物業界全体の問題でもあるが、作り手(職人)にとってはより大きな問題である。

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ただ、富裕層向けの100万円以上の高級品に関しては売れているところでは売れている。ボリュームゾーンが減り、廉価品と超高級品に二極化が進んでいる。NHK大河ドラマ「西郷どん」の影響を受け、大島紬、大島企画を行う問屋・小売店も多い。

2、大型再編と新規上場

「株式会社ベルーナ」が、「さが美グループホールディングス株式会社」を子会社化する事を発表。また3月にはかんざしや傘など和雑貨の物販と、きものレンタル「きものレンタルwargo」を展開する「株式会社和心」がマザーズに上場した。躍進が期待される。

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3、レンタルが堅調:体験型への移行、フォーマル着物でもレンタル需要が増加

観光客向けの合繊系の小紋、しゃれ着をレンタルする「街着レンタルショップ」は、旺盛な観光客増に支えられ堅調に推移、店舗数も増加している。東京・京都・鎌倉・川越・金沢・大阪・福岡などでは競争も激化。

海外観光客の利用も増えているが、「インスタ映え」というSNSでの見栄えの良さから、学生を含む若い女性の利用も増えている。特に3月ごろの卒業式シーズン、春休みシーズンには、日本人客が7割を占める店舗も多い。

フォーマル品のネットレンタル事業でも躍進する企業はある。株式会社たちばな(長野県)は、フォーマル品のネットレンタル通販ショップ「着物レンタル365」を分社化し、より一層の成長を図る。

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こうしたフォーマル着物のネットレンタル事業も増えている。留袖、訪問着などのレンタルが増えている。特に若い方(20~40代)の利用が増えている。冠婚葬祭、イベント・パーティーで利用されるが、

「このイベントが終わればしばらく着ないから」

という理由で、レンタル利用が増加している。冠婚葬祭での着物需要がまだ一定数ある事は、喜ばしい事ではあるが、フォーマル品の物販の低下は、レンタル需要への移行が進んでいるからであろう。もう一つは、多くの着物ファンが「もう訪問着(留袖)を持っているから」という事でもある。

4、浴衣のレンタル化

浴衣市場は、去年も苦戦したが、今年も厳しかった。量販店・百貨店などの物販も好調とは言い難い。

今年は、台風や地震の影響は当然あったが、昨年も天候不順はあった。繊維産業、ファッション産業は当然天候に左右される部分もあるが、「天気が悪かったから」と毎年天候を理由にしてはあまり意味がない。

浴衣需要もレンタルに流れている。

最も大きな市場である東京を中心とした関東圏では、花火やお祭りがある。

ライトユーザーは、こうした花火大会・お祭りに浴衣を利用する。年数回あるお祭りに対して

・「毎回同じ浴衣を着るのは嫌。綺麗に着付け、コーディネートをしてくれるレンタルショップを利用して、お祭りなどでは毎回違う浴衣を楽しみたい」

という要望が増えている。また「インスタ映え」という言葉があるように、SNSに写真を掲載する際には、毎回違う浴衣を着ていた方が、インスタグラムなどにも映えるであろう。

振袖でもレンタル比重が高まっている。物販:レンタル比率はおおよそ2:8と弊誌では推定しているが、浴衣に関しても振袖のようにレンタル化が進みつつある。

5、ネット販売事業は競争が激化

ネット販売事業は価格競争が激化。大手モールでは、10~20円の値引きなどで、少しでも上位にランキングされるための争いが熾烈。こちらの市場でも、健闘する企業と苦戦する企業の二極化が激しい。

特に比較的低価格でネット通販と相性の良い浴衣では、アパレル企業の参入も増えるなど異業種との競争もあるため、安易な出店では、大きな痛手を被る恐れがある。「ブランド・信頼性」を長期に渡って育てる覚悟が必要になるだろう。

着物業界誌ステータスマーケティングは、小売店、問屋、メーカーランキングや、着物市場規模、振袖市場規模、浴衣市場規模などを掲載する着物業界法人様向けの雑誌である。年間購読料(年10回発行)は36,000円。ご購読を検討頂ければ幸いである。購読の申し込みは下記より。

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またSNSを利用した消費者アンケートを行い、利用状況を調査した。結果、SNSの着物コミュニティに属する着物ファンの7割以上がネットで着物の購入利用歴がある事が分かった。詳細は下記。

ネット販売における着物の価格帯

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