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一蔵 河端社長インタビュー

挑戦を続け、有志と手を取り合い、着物業界を盛り上げていきたい
株式会社一蔵
代表取締役社長 河端義彦 氏

コロナ禍でいっそう厳しい状況にある着物業界で、躍進を続ける一蔵。着物業界全体の活性化を願い、産地を守るため、様々な提携やコラボ、新企画を積極的に推進している。着物業界に対する想いや今後の展望を河端社長に伺った。

一蔵

◆創業は4人でスタート
「31年前の1991年に、仲間と4人で一蔵をスタートしました。創業当初はなかなかお取引先に信頼してもらえず、現金を持参して初めて認めていただくこともありました。」と河端社長は語る。
「しかし、直接メーカーから現金で買い取るという、当時としては画期的な方法で流通革命を起こし、初年度に10億円を売り上げ、それ以降は右肩上がりで推移しました。
また、振袖の『レンタル』が『貸衣装』と呼ばれていた1995年頃、着物や帯はレンタルし、肌襦袢や足袋などの下着は差し上げるという、1.8万円の振袖レンタルを実施しました。それは行列ができるほど大ヒットし、お客様が会場で他の様々な商品を見て、『欲しい』と購入される相乗効果もあり、事業はさらに拡大しました。」

SPA振袖

◆SPA体制の推進:バラエティに富んだ振袖を提供
「2016年からは、お客様のニーズにマッチした振袖を、よりリーズナブルな価格で提供するため、SPAに取り組んでいます。白生地から調達して原価を抑え、デザインも社員が行うなど内製化を進めながら、一蔵オリジナルの振袖を開発しています。長らく愛される定番の古典柄はもちろん、流行の柄や、リスクを取ることで他にはない思い切った柄も小ロットで作ることができます。バラエティに富んだ商品を取り揃えることで、お客様の振袖選びはいっそう楽しいものになります。」

◆おしゃれ着はなくならない
「近年、着物業界は厳しいと言われますが、おしゃれ着はなくなりません。特に40代を過ぎると着物のおしゃれ着が欲しくなり、着物を着て特別な一日を過ごしたりするようになります。また、着物を着ることで一緒にお出かけする着物仲間が欲しくなり、仲間ができることで、人生がより豊かなものになります。これは洋装にはない特徴です。」と河端社長は語る。

◆新事業の推進:海外マーケットにも積極的に進出
「当社は和装事業と共にウエディング事業も展開しています。2019年、アジアンマーケットにおけるウエディング事業の拡大を目的に、中国上海市に1施設目の結婚式場を開業し、現在2施設目を建設中です。同時に、国内外からのお客様を迎える沖縄リゾートウエディング事業の計画も進行しています。
また、価値ある日本の伝統や文化を継承していくため、和の素材やデザインを活かした商品を国内外に広く提供し、新しいマーケットを創出していくことも視野に入れています。」

◆資本提携・M&A・協業など様々な再編も必要
「コロナ禍で厳しい時代になっています。当社一社だけではこの状況を打開することは難しく、今後は着物業界全体で資本提携やM&A、協業といった様々な再編を行い、より大きなうねりを生み出していくことも必要になるのではないでしょうか。
着物業界はどうしてもテクニカルな販売手法に頼りがちですが、本来大切なのはデザインなどの商品力です。様々な企業と積極的に手を取り合いながら、お客様が望む商品や機会を提供し続けることが、今後ますます重要になると考えています。」

◆インタビューを終えて:一蔵は想いに共感してくれる企業を歓迎
新しい事業を推進することで、社内に良い緊張感が生まれ、その成功体験は人を成長させると河端社長は語る。自社、そして着物業界全体を活性化し、産地が適正に潤っていくために、これからも挑戦を続ける一蔵。その想いに共感し、「新しい取り組みを行いたい」「こうした新企画を行っている」という企業を歓迎している。

株式会社一蔵(証券コード:6186)
東京本社:東京都千代田区神田須田町2-5 京王神田須田町ビル7階
TEL:03-5297-5151
埼玉本社:埼玉県さいたま市北区大成町4丁目699番地1
TEL:048-660-2211

筆者:松尾俊亮

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