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着物業界ランキング掲載「着物年鑑2021」:インバウンドの激減と今後

着物業界ランキングを掲載する「着物年鑑2021」を7月1日に発刊する。(年間購読料:36,000円、着物年鑑2021年単冊購入の場合は、単冊30,000円)
【内容】着物業界の市場規模(着物販売店ランキング200掲載
、卸業、メーカー業のランキング、着物業界大手ナショナルチェーン、専門店、百貨店、ネット通販、リサイクル、量販店などの動向も掲載。着物業界の現状、課題を知ることが出来る一冊となる。トップインタビューは、京都丸紅、一級さん、たかはしきもの工房を掲載、経営計画発表会では、京ろまんグループ、川平屋グループ、京都の問屋、和光株式会社を掲載する。
着物年鑑2021をもとに、2020年~2021年6月までの概論を発表する。


<2021年着物業界動向:緊急事態宣言長期化によるイベントの減少、インバウンド激減>

コロナ禍が発生し、非常事態宣言が発令されたのが2020年4月。2021年まで長引くことを想定していた方は少なかった。まだ収束が見えず、長期化を予想せざるを得ない。また、2021年に関しては、2/3以上の日数、緊急事態宣言が出続けている地域もあり、非常に厳しい状況である。このような中、イベントの中止・延期・会場変更は頻発し、催事の段取りも組みにくい状況である。また消費者にとっても、自粛要請が続くなど、外出しにくい雰囲気が残る。こうした状況では、おしゃれ着、外着になる着物のニーズは鈍化する。
大規模な催事・イベントを行うことができず、呉服業界においても厳しい状況下が続く。特に、結婚式などのイベントは、中止・延期、または、人数を縮小して開催されるなど、最も需要のある結婚式に参加するための訪問着・留袖の需要は厳しい打撃を受けており、フォーマル品は、非常に厳しい状況にある。また百貨店、GMSなど自粛を余儀なくされる店舗もあり、廃業、撤退、M&Aも進んでいる。

① 浴衣市場の苦戦:2020年浴衣市場規模は、昨年対比7割減の33億円。
2020年から続くお祭り、花火大会の中止・縮小で浴衣を着る機会は減少。初めて浴衣を着る、という若年層の需要が減少。2020年には浴衣を発注、製造していた中間流通も今年は、生産・発注に二の足を踏んでおり、浴衣メーカーは、厳しい状況にある。2020年の浴衣市場規模は、前年比約70%ダウンの33億円程度と推定する(きものと宝飾社推定)。特に閉店を余儀なくされた実店舗、百貨店などは苦戦を強いられた。

業界では、「おうちで浴衣」などの企画を展開するなど、提案を進めているが、ライトユーザーからすると、お祭り、花火大会など、夏の風物詩となるイベントがなければ、着たいという気持ちが起きにくい。また自粛要請が続き、外出の機会も失われている。

② 着物(街着)レンタル市場の苦戦:インバウンドの激減
2019年まで、拡大する外国人観光客や旅行客を主力とし、堅調に成長を続けてきた着物レンタル市場。特に旅行客をターゲットとしてきたレンタル事業を、「街着レンタル事業」と呼ぶが、海外観光客の激減に伴い、大幅な落ち込みを見せている。閉店、廃業、店舗の撤退がみられる。一部の街着レンタル事業は、こうした落ち込みをカバーすべく、振袖レンタル、訪問着レンタルなどの高価格帯のフォーマルレンタル事業に積極的に挑戦しているが、既存のレンタル事業との闘いとなっている。海外観光客及び旅行客の回復が正直読めず、厳しい展開を強いられている。ちなみに訪日外国人数は、2019年:3,188万人。2020年:411万人(前年対比-87.1%)。2021年8万人(5月まで、前年対比-97.8%)となっている(出典:日本政府観光局(JNTO)より)。2019年の3,000万人に回復するまで、何年かかるか予測が困難である。

ただし、逆説的ではあるが、今、観光地は非常に厳しい状況下にあり、空き物件が増えている。こうした厳しい状況下の中では、家主も賃料減額、交渉に応じる場合も多い。この時期をチャンスととらえて、優良な物件を取得する意欲的な企業も存在する(外国企業を含めて)。「ピンチはチャンス」という考え方もあるので、余力のある企業は優良物件をリサーチ、交渉、取得する余地はあると言える。観光客の多い京都では空き物件も多い。参入する企業も散見される。

③ リサイクル着物苦戦
緊急事態宣言により、リサイクル着物は大きな打撃を受けた。実店舗は当然であるが、実店舗の苦戦を受けて、多くの企業がEC市場に参入。

今までも激戦区であったが、更に競争が激しくなった。バイセルが伸長・躍進。実店舗を有していた、たんす屋、ながもち屋、「撫松庵」ブランドを有する撫松庵が、事業譲渡されるなど、再編、M&Aが生じた。またリサイクル着物の老舗ECサイトであった「ICHIROYA」が、着物ビジネスから撤退するなど、リサイクル着物の競争は、非常に激しい。ネットで価格がすべてわかるため、価格競争が激しく、SEO対策など、IT技術、販促費などもかかる。閉店及び実店舗の移転・閉店も継続的に発生している。

④ 地方専門店、地域一番店の健闘も
一方で、地域一番店、地方専門店の一部が健闘・躍進している。奈良を本店とした京ろまんグループは、コロナ禍にもかかわらず、増収増益を達成。厳しい状況下でも良好な結果を残している企業は、各地に存在する。
よく聞かれることであるが、呉服店とアパレルの最も大きな違いは、お客様との人間関係の深さである。アパレルショップでは、電話などの勧誘をしない待ちの営業ともいわれるが、呉服店は、電話、DMなどでの積極的な攻めの経営を行う。またお客様には、親子三代での付き合いがあるなど、人間関係が深く構築されている。なじみの客が多い。こうしたおなじみさんとの密接な関わり合いが、コロナ禍でも生かされている。
こうした「地域密着」、「お客様との人間関係」が、コロナによって改めて問われている。

⑤ 着物顧客の動向
一方で、着物を楽しむコアな消費者の方は、コロナ禍でも「おうち着物」を楽しむなど、着物を楽しまれている。きものと宝飾社が5月に実施した「着物を着る回数」アンケートでは、1,237名のアンケートを実施。約6割の方が、「月1~4回程度」着物を着ていた。一方で、「コロナのため着物を着て外出できない」、「着物を着て出かけるきっかけがない」、「周囲の目が気になって、着物を着て出かけられない」との不満、不安の声も多かった。こうした消費者の声を受け止めて、厳しい状況でも着物を着るイベントや企画は、大切になってくることは間違いない。こうしたイベントの開催こそ、地域に密着した企業でしかできない顧客対応ではないだろうか。

関連データ:着物を着る回数アンケート

⑥ M&A、再編、廃業などが進む
雇用調整助成金が継続されているが、雇用調整助成金の終了後に、M&A、事業再編、廃業、倒産が見られると考えられる。ただ、こうした再編・廃業は毎年起こっている。変化に適応し、対応していくしかない。

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