コロナ禍での着物業界:健闘する3商品
コロナ禍により着物業界も催事の中止や、おでかけの減少が続き苦戦が続いている。しかし、こうした中でも比較的健闘している3つの商品がある。子供浴衣、七五三、成人式の振袖である。キーワードは「子供」になる。

これはやはり親心である。去年入学した大学生はまだあまり満足に大学にも行けずにオンライン授業を行っている。また短大生ならばもうすぐ卒業である。誰が悪いわけでもないが、こうした自分の子供を不憫に感じ「成人式だけでも楽しんでもらいたい。」と考えるのも自然ではないだろうか。また自粛期間も長引き、自分がおしゃれをして出かけることが減ったとしても「子供にだけは何かを体験させてあげたい。」と考えるのが親心である。
特に7歳くらいまでの小さな子供を持つ親からすれば去年も今年も、夏祭りや花火大会がなかった。こうした子供に浴衣を着せてあげ、ちょっとした屋台を自作し、お祭り気分を子供に味合わせてあげることが、SNSで人気を集めた。
また、大きなイベントではなく、人数を限定した小規模なお祭りやイベント、またはビニールプールを設営して、人数限定で楽しんでもらう小規模なイベントもすぐに満席になるなど、コロナに配慮したちょっとした遊びイベントは好調であったという。小規模で地域に密着したちょっとした取り組み。こうした時流に合わせた取り組みを展開している企業は好調である。
また、着物市場においても、七五三、振袖は復調傾向にある。2020年と比較すれば、店舗の休業も減り稼働日数も回復しているからである。厳しい状況であることに変わりはないが、工夫をしていかなければならない。
コロナによる緊急事態宣言も10月に解除された。京都の問屋街である室町も10月の催事は比較的好調であった。緊急事態宣言で京都に仕入れに来ることができなかった小売店も、久しぶりに京都に来られるようになった。「ここ数年で一番良い結果を出すことができた。」と喜ぶ問屋もあった。去年とは違い、今年はワクチン接種率も高くなっている。10月からの秋商戦に期待をする業界関係者は多い。今後コロナの流行が、小規模化し沈静する事を願う。
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