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着物市場規模に関する調査2021年

【調査結果要旨:コロナ禍による大きな変化。着物レンタルなどにも大きな打撃】
■2020年着物小売市場規模は、前年度比98.2%の2,780億円。
 2020年の着物小売市場規模は、前年比98.2%の2,780億円。弊誌「ステータスマーケティング」2021年1月号全国着物小売店売上高ランキング200社(2019年4月~2020年3月決算)、及び弊誌「着物年鑑2020」を基準に推計。2020年3月までの決算であるため、コロナ情勢の直撃はうけてはいないが、次年度への影響が避けられない。2020年の緊急事態宣言による卒業式、入学式などの中止。オリンピックの延期、花火大会、夏祭りの中止、延期による浴衣市場への打撃、結婚式の延期・中止など、慶事、式典を彩るフォーマル関係の着物市場は厳しい状況下にある。
振袖市場では、母親・親族から着物を借りる「ママ振」の比率が高まっている。振袖市場では、物販:レンタル:ママ振=2:4:4の比率と推計するが(写真館含む)、特に成人式の開催の可否が消費者にとっても悩みの種であり、成人式が行われない場合を考え、ママ振を選択する人が増える傾向がある。
【調査手法】
きものと宝飾社では、着物業界誌 月刊「ステータスマーケティング」(年10回発刊)による取材を通じ、次の調査手法において国内着物市場の調査を実施した。(調査期間:2020年1月~2020年12月)
・調査対象:着物関連メーカー、着物関連卸売業、着物関連小売業、その他イベント、セミナー
・調査方法:専門員の催事取材、インタビュー、SNSを通した市場調査、郵送アンケート及び文献調査

■掲載雑誌
雑誌名:月刊「ステータスマーケティング」2021年1月号
発刊日:2021年1月1日(既刊)
定 価(新年号のみ):10,000円(税・送料込) ※年間購読料36,000円(税込)(年10回発刊)

■「着物レンタル」、コロナによる観光業の打撃を受ける
 観光客を中心としたレンタルショップが増加していたが、2020年のコロナの直撃を受け、厳しい状況下に。ショップの閉店や店舗整理が進むなど、観光に出かけられる状態に戻るまで、厳しい市況が予想される。コロナ前の2019年の水準に戻るまでは、5年程度かかるのではないか、と厳しい状況を想定する経営者もいる。

■リサイクル着物業、コロナにより苦戦
 大手リサイクルショップ、老舗のネット着物リサイクル会社が閉店するなど、中小を含めたリサイクル着物ショップの店舗閉店、廃業が進む1年となった。リサイクル着物ショップは、廉価な価格で多くのお客様に来て頂く「薄利多売」型のスタイルであるが、コロナによる緊急事態宣言による顧客の来場減少、イベント減少による購買意欲の低下に、家賃などの固定費が負担となり、店舗撤退が多くみられる1年となった。業況としては、メルカリ等のCtoCの増加、ECサイトの増加による競争の激化に加え、コロナによる顧客及び売り上げの減少が、リサイクル着物事業を直撃した。

【調査結果の概要・2020年の市況に関して】
1.市場の概況
 コロナという予測し得なかった社会情勢の変化により、大きな変化を受けた年となった。また2021年も大きな影響を受けている。特に着物業界は、お宮参り、七五三、入学式、卒業式、成人式、結婚式、その他慶事、式典、パーティーなど、行事・イベントに密接に関わる業態であることが再認識された。特に、式典の開催の有無に大きく依存している。その為、成人式に関連する振袖事業などは、成人式が行われなくとも、お客様に喜んで頂けるサービスにすることが求められるようになった。成人式が行われなかった場合は、返金対応を取る事業者もあるが、成人式が行われなかった場合の代替プランとして、「神社にお参り」、「商店街などでの代替の式典」、「店舗でのパーティー」、「家族成人式」、「観光施設への招待プラン」などを提案して、お客様に喜んでいただいている事例もある。各店舗のオリジナルのプランなどが、模索されている。
また、東京、首都圏を本社とする大手NCなどは、コロナの感染者数がニュースで毎日報道されるなど厳しい雰囲気が残る。大規模な催事やパーティーを開催することが難しく、厳しい状況にある。
一方で、地方専門店などは、コロナの影響が少ない地域もあり、催事で健闘している店舗も多い。特に地方は、大都市と比較してサービス業も少なく、旅行などが規制され、自粛が続くなど消費者の方にもストレスが溜まっている。そうした中、イベントや催事を、感染対策をしっかりと行う事で、健闘している事例も多い。百貨店にも言われる事ではあるが、都市部が苦戦し、地方が健闘している傾向にある。
2.集客・販売方法
◆催事の重要性が再認識される
既存着物専門店の着物販売比率は、弊社アンケートの平均では、店頭:催事=20%:80%。コロナによる変動を受け、社会は大きく変化したが、催事の重要性が改めて再認識される結果となった。というのは、健闘している企業の多くが、催事で健闘しているからである。また、着物業界とアパレル(洋品)との大きな違いは、催事にある。着物業界では、店が閉まっていても、電話や手紙などで顧客と関係性を維持し、催事の案内などを頻繁に行うが、アパレルショップはそうした電話集客や催事などの文化があまりない。こうした催事が呉服店にとって大きな武器となっている。

2.販売チャネル別動向
【ナショナルチェーン(NC)、着物専門店】
 業界全体で、催事を行いにくくなっているが、特に首都圏を中心としたNCは、大きな催事を行う事が、コロナによる困難になっており、厳しい状況下にある。小規模なイベントや催事を展開する事で、健闘している地方店もある。店舗型の催事でお客様に、直接アンケートを取って、お客様が喜ぶ催事をこまめに行うなど、密着型のイベントで健闘している店舗も存在する。
【百貨店】
 都心部の旗艦店が、コロナによる大きな影響を受け苦戦。大規模なイベントでより多くのお客様を集める方法が、行えなくなっている。地方店の閉店も続いてはいるが、健闘する地方店も存在する。また店舗を出している大手アパレルの店舗閉鎖やリストラが進み、空き店舗が問題となっている。店員の再配置や、リストラクチャリングなどが行われる場合もある。
【リサイクル】
 低価格のリサイクル品を顧客に提供する事で、新規顧客や着物ファンの支持を集めている。若年層にも手が届きやすいと人気店も多数存在する。ただ、コロナの影響を受け、実店舗を手放す傾向も多い。また、新規参入が多く、競争が激しくなり、利益の確保が課題。個人事業主、家業店も多く、ファンをどのように獲得できるかも課題。
【インターネット販売(EC)】
 インターネット販売会社だけに留まらず、各着物専門店でもネット・SNSを使った宣伝・広報活動が進んでいる。また構造的な変化により、メーカー、問屋の進出事例も増えている。そのため、参入企業が増加しており競争は激化。価格・サービスはもちろん、ネット環境への投資も必要。最近はオンラインサロンが人気を集めている。販売するというよりも、コミュニティを形成する、という考え方もある。

PDFは下記より。ご活用いただければ幸いです。またご購読やメディア様などのお問い合わせは、こちらからお願い致します。

筆者:松尾俊亮

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