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東京オリンピックと着物業界:花火大会と着物レンタル

2020年の着物業界に関して

今年はいよいよオリンピックが行われる。世界的なイベントとして、成功が期待される。一方で、着物業界ではどのような事が考えられるかを考えたい。

◆東京オリンピック開催とその後の影響

① 東京オリンピック開催(2020年7月24日~8月9日)による花火大会日程変更・中止

7月24日~8月9日まで、東京オリンピックが開催されるため、全国的に花火大会日程の変更・中止が相次いでいる。関東地区だけではなく、全国的な流れである。これは、東京オリンピックに、多くの警備人員が必要となるためである。前倒しされる花火大会は、5月、6月、7月に、延期される花火大会は、9月、10月、11月が多い。
枚挙にいとまがないが、一例をあげると、東京都「江戸川区花火大会」は5月23日、愛知県「豊田おいでんまつり花火大会」は、9月27日、滋賀県「びわ湖大花火大会」は、11月6日に開催される予定。「2020年 花火大会」で検索すれば、変更などは容易に確認できる。

参考サイト:2020年(令和2年)中止・開催時期変更が決定した花火大会

5月や11月に変更された花火大会にどの程度人が集まるのか?という課題、及び着物業界としては、5月や11月に実施される花火大会では、浴衣が着られる事が想像されにくく、浴衣市況は、苦戦が予想される。単衣や袷などの着物での参加や提案も考えられる。
オリンピックは、暑い時期に開催されるので、オリンピック観戦を浴衣や夏着物で楽しんで頂ければ幸いである。

② 東京オリンピック後の景気の動向
オリンピック閉会後に、景気はけん引役がなくなり、減速を懸念する意見が多い。ただ、過去6回のオリンピック開催国(スペイン、アメリカ、オーストラリア、ギリシャ、中国、イギリス、ブラジル)の開催年は、成長率が上昇しているところが多く、開催後もGDP成長率を緩やかに維持している国が多い(アメリカ、オーストラリア、中国、イギリスなど)。ITバブル崩壊やリーマンショックなどと言った世界的な経済要因などの外的要因がなければ、必要以上に減速を懸念する必要はないのではないか。

また、1964年の東京オリンピックとの比較がなされる事もあるが、日本人口とGDPを現在(2018年)と比較すると

1964年(昭和39年) GDP:約106兆円  人口:9,718万人

2018年(平成30年) GDP:約533兆円  人口:1億2,644万人

人口もGDPも大きく成長している今、単純に1964年の東京オリンピックと比較しても意味があるのか疑問である。筆者としては、50年前と比較して、約3,000万人も人口が増えている事が驚きである。

③ 東京オリンピック後の海外観光客数に関して
東京、大阪、京都や各観光都市では、街着レンタルが受け入れられており健闘しているが、オリンピック以降の観光客数を懸念する声もある。ただ、観光客数の誘致目標は国策であり、2030年6000万人を目標としている。2019年には、政治的な問題で、韓国からの観光客数は減少しているが、他国からの観光客数増もあり、成長している。2030年まで、国の対策(ビザの緩和など)が期待される。また、オリンピック開催国では、開催後も海外観光客は増加。よってオリンピック後に観光客数が急減する事は、想定しにくいのではないか。
ただ、観光客を対象とした着物レンタルショップは、競争は激化。対策を講じる上位に観光客が集まる傾向があり、新規出店は、厳しい戦いが予想される。

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