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着物業界ニュース2017トップ5と着物業界の今後

早いもので、もう12月。2017年もあとわずかである。2017年の着物業界のニュースでビュー数が多かったトップ5を公表する(きものと宝飾社ページより)。注目を集めたニュースから、着物業界の今後の傾向も読み取ることができると考える。(期間:2017年1月1日~2017年12月17日まで)。(※2019年4月3日更新:「着物業界データ一覧」を下段関連記事リンクに追加しました)

1位:染の北川自己破産申請へ

2位:装いの道、佐々木ベジ氏とスポンサー契約締結

3位:ハクビ京都きもの学院の全株式をまるやまに譲渡

4位:RIZAP、呉服卸大手の堀田丸正を買収

5位:京朋㈱、着物製造卸業をツカキに譲渡

廃業、M&Aのニュースが、トップ5を占めた。中堅、大手の統合合併、廃業であったために、着物業界関係者、またエンドユーザーからの注目を集めた。トップ5には、メーカー、着付け教室、問屋の統合が並んだ。着物業界では、今後も統合、合併、廃業が継続する事は避けられない。あらゆる業態(職人、メーカー、問屋、小売店)において、特に中小、家業店では業績の不況、又は後継者の不在が続き、廃業・統合は、来年も進むことが予想される。また経営者の「家業を継がせない」という判断が、小売店、問屋、メーカー、あらゆる領域において残念ながら増えている。

2017年の傾向と着物業界の今後

異業種(アパレル・旅行業・雑貨店・新規起業家・フォトスタジオ)からの参入

ネット通販・着物レンタルショップ(街着レンタル)・リサイクルショップへの新規参入は増えている。街着レンタルショップは、海外観光客の増加、及び今後も成長が見込めるため、旅行代理店などとタイアップして、新規進出を果たす企業は多い。またこうした観光業の増加、東京オリンピックを背景に注目を集める「日本文化」という言葉が若手の起業家を惹きつけている。それと同時に、取扱店舗増大のため、ネット通販(物販)の競争は激化している。

・ネットオークション・フリーマーケットアプリの利用増加:逸品、良品が直接消費者間で売買されている

着物ファン、エンドユーザーが「ヤフーショッピング」、フリーマーケット「メルカリ」を代表する、ネットを媒介としたC to Cをよく利用するようになった。また消費者同士時の「着物のお譲り会」なども、ネット、SNSを介して増えている。今後ネット、ウェブが発展するので、こうした消費者間売買(C to C)は伸長する。企業としては、どのような対策を打つのか検討しておいたほうがよい。また着物業界が活況であった時代に制作された良品、逸品も多い。消費者が大切に保管しており、保存状態が良いものも多い。こうした手織り、手描きの良品が安値で、ネットマーケットに流通している。

・ネットにより、情報がますます容易に取得できる。消費者が価格・品質などを把握するケースが増えている

催事などで、成約した商品が翌日解約になる事例が散見される。顧客がネットで価格を調べる。ネット価格と成約価格の価格差があまり激しい、または顧客が納得できなくなると解約になる。またネット通販でも、成約後、「やっぱりいらない」という解約事例も散見される。これはネット通販であるがゆえに、「気軽に解約してしまう」、「解約に抵抗がない」という状況である。これは着物業界だけではなく、飲食店の予約などにもよく見られる事例であり、難しい課題である。こうした解約防止に対しては、顧客の満足度、納得度を上げる必要がある。

着物業界の市場規模が反転拡大する事は、残念ながら考えにくい。ただ、微増という可能性がないわけではない。お客様の支持を集めた企業が結果を残していく。大幅な成長・結果を残している企業・健闘している企業はある。業界誌として述べるのであれば、やみくもな拡大路線には賛成できかねる(顧客が枯渇する可能性がある)が、成長を志向する事は重要である。


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