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浴衣売上は不調:2017浴衣商戦(ステータスマーケティング調べ)

海外からの観光客増加、レンタル人気もあって気軽に浴衣を楽しむ人たちが多く見られる。特に旅行客の多い、浅草、京都などでは浴衣姿を見る事が多い。また、各地でゆかた祭や盆踊りなどのイベントが開催され、大学での浴衣デーも広がりつつある。浴衣を着てイベントを楽しむ人は増えているが、市況としては厳しい結果となった。

浴衣市場規模

2017年は、全チャネルで浴衣販売苦戦:2極化が進む
例年に引き続いて花火や、祭、イベントなどで、浴衣姿をよく見かけるようになってきた。しかしながら浴衣の取扱店が増え、観光客の宿泊するホテルや、量販激安店、アパレルショップなど、様々なところで販売されるようになってきた。レンタル人気の影響もあり、既存着物専門店でも取り扱いをやめるところが出てくるのではと懸念される。また実店舗、ネット通販を含め、取り扱い店舗は増加。2極化が進むとともに、全体として店舗当たりの売上は下がっている。

広島「とうかさん大祭」姫路「ゆかた祭」でも振るわず
 浴衣を着るイベントの中でも開催日が早く、今年の浴衣販売を占う指標として注目される6月1日開催の広島「とうかさん大祭」、6月22日開催の姫路「ゆかた祭」での浴衣販売は振るわず、例年の8掛けスタートとなった様子。その後も販売店の多チャンネル化で百貨店をはじめ、スーパーなどの量販店、ネット通販など、既存店は伸び悩んでいる。ネット通販ではいち早く値引き合戦も始まり、価格競争が避けられなかった。

各チャネルでの浴衣販売
スーパー、各種量販店でも、ゆかた販売は伸び悩んでいる。唯一昨年より売り上げを伸ばしているところが「しまむら」。「洗濯機で洗える浴衣」としてテレビCMを打ち、浴衣・結び帯・腰ひも・下駄の「5,800円セット」を売り出した。「浴衣はドライクリーニングを」とドライを推奨する専門店が多いなか、「自分で、洗濯機で洗えるんだ」というところが消費者に受けたようで、売り上げを伸ばしている。業界の人間であれば、「浴衣は洗える」という事は常識なのかもしれないが、「常識」としてとらえずに、しっかり消費者に提案できたことが、好意的に捉えられたようだ。「一般の消費者は着物の事をあまり知らない。丁寧に説明する」ということは、とても大切なことであると感じさせた。
百貨店では良いところと悪いところに二分された。ただ、全体的にダウンし、前年比9割程度と見られる。

浴衣ネット販売は激戦区に
浴衣は着物業界では、低価格商品であり、着る事も比較的容易で初心者にも着やすいので、ネット通販との相性が良い。ただ相性の良さがあり、参入障壁も低いため、アパレル、雑貨店など他業種からの参入も多い。高級品はデパートで、格安浴衣はネット販売へと流れ、実店舗(対面販売)は、スタンスの決定が難しい状況となっている。
浴衣人気からの販売チャネルの多様化、また高額着物の販売確約品として浴衣を景品として付ける店舗、宿泊客サービスとして浴衣をプレゼントするホテルや旅館なども多い。浴衣販売ページを作ってはいるが、ほとんど稼働していない、というページも散見される。少なくともお客様に見てもらえなければ、販売ページは稼働しない。

「去年が良すぎた」、「隔年周期で動く」という意見も聞かれた。

「浴衣は昼から着てもいいの?」こうした声に、着物業界は応えていく必要がある。

一部の人からは「浴衣は夜に着るもので、昼から着るべきではない」、「浴衣を昼から着ることははしたない」と考える人がいる。

また、最近ではこうした声が問題視され、必要以上に作法を強要したり、着物を初心者を嘲笑する人を「着物警察」と呼ぶようになり、問題視されている。

また、こうした厳しい声を聞いて「浴衣を朝や昼から着ても大丈夫なのでしょうか?」、「昼から夏祭りやお祭りがありますが、浴衣を着てもいいのでしょうか?」と心配する消費者もいる。着物にかかわる業界関係者はこうした消費者の懸念を払しょくするための試み、努力が必要なのではないだろうか。夏場がメインの商品ではあるが、ますます販路・時期が狭められるおそれがある。詳細は下記に掲載。

浴衣の時期とマナー:朝・昼から着ても問題ありません

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