コスモスベリーズ(YAMADAグループ)三浦会長インタビュー
コスモス・ベリーズ株式会社 代表取締役会長 三浦 一光氏
昨年創立10周年を迎えたコスモス・ベリーズ。加盟店総店舗数は1万店以上に達する。親会社であるヤマダ電機とのコラボレーション施策も、斬新なビジネスモデルとして大きな注目を集めてきた。三浦会長はこの10年間を第1ステージと位置づけ、これからの10年間を第2ステージとして新しい流通のあり方に挑戦していく。
◆努力する企業が発展する「公正な流通競争環境」を提供
「加盟店のための本部」が大前提
当社は、昨年8月末で創立10周年を迎えました。この10年間を第一ステージとして、築きあげてきたことを振り返ると、①加盟店が自分の意志で加入されるという関係にできたこと。本部と加盟店のもたれあいが、その先に起きないようにするためで、20年以上経てばその価値がわかります。
次に、「公正な流通競争環境」を提供すること。会社の規模など関係なく他業種で家電を売りたいという方たちに、ある程度公正な流通競争ができる環境をつくってさしあげなければなりません。そのため仕入れ量による仕入れ条件格差を排除し、②均一仕入れ価格、月額1万円の会費制を実現。10年間、こうしたことに努力し、結果、加盟店は79業種にまで広がりました。そして、受益者負担の原則を徹底していること。つまり、販促やサービスなどは必要な人だけがお金を払って受ける。無料は、使わない人にもコスト負担がかかってしまうということです。逆に言えば、やる気があるところはコストをかけてでも、どんどん成長していけます。まだ、変えられていないのが物流費。現在本部負担ではありますが、それはつまり全ての加盟店が負担していることになります。商品をあまり買わない加盟店には不公平です。いずれはここも改革しなければならないという想いです。
そして、もう一つが③加盟店の事業発展に貢献できる本部機能です。本部のための加盟店ではなく、主役は加盟店なのです。ほとんどのフランチャイズは本部のためのFC店になっています。FC店が本部のセールスマンとなっている関係です。
◆指導ではなく、加盟店の知恵を共有する本部
当社は、この点が根本的に異なります。加盟店のための本部であることから加盟店には自主自立を求めます。過剰な支援は逆に加盟店を弱体化させ、共倒れしてしまいます。
次に本部機能としては、ローコスト・オペレーションを徹底的に追求。加盟店にとって一番大事なことは、仕入れ原価が安いということです。そのためコスモス・ベリーズの社員は60名に限定し、アウトソーシング、IT化によって本部コストを下げています。
また、一般的に本部は指導的な立場という位置づけですが、当社は加盟店の知恵を共有化する本部です。いろいろな業種の加盟店が集まれば、たくさんのアイデアが出るはず。ですから、コスモス・ベリーズはVC(ボランタリー・チェーン)なのです。VCがFCと異なるのは、まず看板。FCは全部同じ看板ですが、VCは自前。また、VCは商品を本部から買わなくてもいい。もっと安いところがあれば、そこから買ってもいいというスタンスです。こうした仕組みの上で、メーカー(川上)からの情報だけでなく、小売(川下)の情報を融合させるという取り組みを行っています。
こうしたことを積み上げた結果、世界に類を見ない多様な業種・業態のチェーンネットワークを構築しました。本年3月時点で、加盟店数3,599店、総店舗数10,872店、そして79業種にも上ります。このうち、上位4業種は、電気店、燃料店、工事店、工務店です。この4業種だけを合計すると、加盟店数2,987店で全体の約83%、総店舗数は7,133店で全体の約66%を占めます。
◆世界に類を見ない業種のチェーンネットワーク実現
加盟店同士のSNS「文殊の知恵」
本部はローコストを追及するためIT化を可能な限り進めてきました。その一つがBFCネットという加盟店専用のネットワークサイトです。全ての加盟店は、その店舗数に応じてIDとパスワードを設定し、発注など基本的なことを行っています。そして、そのポータブル版が「ふれあいPad」。タブレットで業務を行ったり、動画を含めた商品情報提供、販促情報提供を行っています。このためのiPadをすでに2,000台強、希望される各加盟店に導入しています。それから「直取ビジネスカード」は、ヤマダ電機の店舗で仕入れをするための法人カードで、全加盟店の8割弱が活用しています。
それと、加盟店同士のSNS「文殊の知恵」は、メンバーの知恵の交換、交流の場です。文殊の知恵の狙いはこうしたら商品が売れたという成功事例など、現場のノウハウを共有すること。そうした情報はできるだけ公開させたいと考えています。最初立ち上げた時は本部に対する不満などクレームが多かったのですが、だんだん建設的な内容に変わってきました。もう一つの狙いは多様な業種の集まりですから、自社の商品を加盟店に売りたいというケースです。そうしたPRの場、今後はサイト内でネット通販としての役割も担っていくのではないでしょうか。スタートして1年強ですが、大きな武器になるのではと期待しています。
そして、第1ステージ10年間の販売実績は、浮き沈みはあったものの右肩上がり基調です。販管費は6%程度。ヤマダ電機への本社費を入れての数字です。当社のような卸業態の場合10%前後なので、かなりのローコストとなっていますが、我々が目指しているのは本社費含め5%です。
インタビューはステータスマーケティング5月号に掲載。
http://status-marketing.com/20160428-890.html
※トップインタビュー後半に続く
コスモス・ベリーズ株式会社(YAMADAグループ)
住所:愛知県名古屋市名東区猪子石1-503
担当:日高 正晴