鞠小路スタイル 田中代表 インタビュー
㈱鞠小路スタイルは、2007 年に教室を開校してから、web のみで集客するという独特のスタイルで全国多くのファンを獲得し、現在は 2 校を展開している。田中代表にお話を伺いました。
「もともと着物とは関係のない家庭で育ちました。大学は外国語大学でロシア語を専攻。在学中にモスクワに留学もしました。ロシア留学中に、ロシアの素晴らしさを誇らしげに語るロシア人に日本のことを何も語れなかったショックが、今思えばこの世界に入る大きなきっかけになったと思います」。
◆ロシアからの帰国後 日本のことをもっと知りたいと寺社仏閣や歌舞伎などを見に行くようになり 偶然訪れた北野天満宮で着物との運命の出会いがあった。
「着物は買うのも習うのも何百万円もするものといった敷居の高いイメージで、自分には縁遠い存在でした。成人式でも振袖を着なかったくらいです」。
「ある日 友人に誘われて訪れた京都の骨董市で、山積みになったきものはなんと 1 枚 500 円で。着付けのことも着物のこともしらないのに、思わず手に取って買ってしまっていました」。
当時は書店につとめていた田中代表。そこで着付け本があることを思い出し 本で着付けを勉強しようと思い立ったという。
「本を見たら 着られるようになるんじゃないかな。500 円で買った着物と 1,000 円の本
で着物が着られるようになったらすっごくかっこいいなと思ったのが動機です」。
現在の鞠小路スタイルの礎となる着物との出会い。それと同じ頃、もうひとつの大きな柱となるネットと出会いがあったという。
「その頃、初めてパソコンを買いました。マイナーな趣味だったアンティーク着物のことを少しでも発信したくてホームページを手作りし始めました。コーディネートや着物でお出かけした日記などを載せたり、掲示板(BBS)で読者とやりとりしているうちに自然とコミュニティがうまれました」。
「コミュニティではお食事会や飲み会、おでかけ企画を立て、たくさんの着物好きさんが参加してくれました。フリマ開催時には驚くほど沢山のお客さんが来てくれて。なかには東京や九州から来てくださった方も。ネットの力ってすごいとその当時から感じていました」。
◆人生の大きな転機に着物と離れたことで新たな着物への想いが現れる。
「そのあと仕事が忙しくなり、同時に親が病気になったり結婚したりと環境が変化し、しばらく着物から遠ざかることになりました。色々落ち着いた後、改めて着付けを習ってみたいと思ったんです。以前は自己流の着方でも着ていること自体が楽しかったし活動をしている立場ではいまさら習いにいけないと変なプライドもありました。ブランクのおかげで“着付けを習って、いちから再スタートしたい”と素直に思えたんです」。
◆そして着付け教室がスタートする。
「昔から教えることは得意だったので着付けを教えることならできるかもと思って、勉強しました」。
「着付け教室を開講するときは、ホームページ作りから始めました。過去の活動での認知度と、当時のコミュニティ仲間が宣伝してくれたことで少しずつですが順調に生徒さんが来てくれるようになりました」。
「できるだけ敷居を低くするために 堅苦しさをなくす見せ方に気を付けました。ときには髪を金髪にしたり。その分レッスンでは成果を出すために手順を検証したり伝え方を工夫したりカリキュラムを見直したりしました。着付けは堅苦しくも難しくもないよ、とずっと伝えてきたように思います」。
◆“着付け”から“きもの”を伝えるために「きものの学校」を開校
今年6月から新たに『きものの学校』がスタート。
「これまでの活動を経て、着付けに対するハードルはさがってきた実感があります。カジュアルでお手頃な着物も増え、思い思いの着物スタイルを楽しめる時代になってきている。だけど着付けはできるようになってもきものについてよくわからない、知る機会がないという声をたくさん聞くようになったのです。
そんな生徒さんたちの気持ちにこたえる場をつくりたいと思ったのが一番のきっかけです。授業では蚕の繭や真綿や産地からいただいた糸を触ることから始めます。きものが作られる背景に想いを馳せて体感してもらうことできものを知る一助になればと思っています」。
住所:京都市中京区錦小路烏丸西入占出山町 315-3 日鴻ビル 4F
(他 日本橋教室)
℡:075-746-4796
Mail:info@marikoji-style.com