お知らせ

呉服業界の最新情報をお届けいたします。

西陣織「西陣まいづる」新工房完成:力織機動画付

西陣織「西陣まいづる」新工房完成へ
大豪華展、開催
株式会社西陣まいづる

㈱西陣まいづる(舞鶴政之社長)は、この度、本社前に力織機の新工房を新設、完成させた。合わせて、3月12~13日に「大豪華展」を開催した。

西陣まいづる2019年

 本社前の駐車場を改装し、建設された新工房。西陣でもこれだけの規模の工房新設は実に35年ぶりだと言う。
 「6年ほど前から、新工房を検討していましたが、既存の工房ではなかなか条件も合わず、またメンテナンスにも費用がかかるとのこと。それならば新工房を建設したほうが良いのではないか、という判断もあり、駐車場であった土地に新工房を建設する事を決断致しました。周辺の皆様にもご理解を賜り、3台の力織機と2人の織り手さんに来ていただき、今回の運びとなりました」と舞鶴会長は語る。
 3台のうち、2台は最近では、なかなか作る事の出来なくなった「もじり織」用(経糸をもじって、空隙を作る織り方)であり、残り一台は秋物用の力織機となる。
 舞鶴社長は
 「20年後、30年後を見据えて、継続と継承を考える場合、若い職人の育成は避けて通れません。職人は減っていく一方ですので、若い方にも働きやすいように本社前に工房を作る事ができたのは、良かったと考えています。織手を少なくとも1~2名確保し、ゆっくりと技術を継承してもらいたいと考えています。また工賃もかかります。価格競争に巻き込まれないように付加価値の高い逸品物、そして現場を通して把握している情報を持って、多くのお客様に喜んで頂ける作品を作っていく必要がございます」と語る。

緯糸を通す杼(ひ)が稼働する様子

 「また力織機の部品がなかなかない事も課題です。経年劣化や摩耗で痛んでいる部品も多いので、今後の対策を考えていく必要がございます。様々な課題がございますが、一つ一つ解決していかなければなりません」と語った。
 「もじり織」、緯糸を織る前に水で濡らして織る技法「濡れ緯」(ぬれぬき)、引箔を使った夏物の本袋帯を作る事のできる職人は、70代の職人一人となっており、こうした技術の継承も行っていきたいとしている。
継続して新作を作り続けるという意気込み通り、「豪華展」では多くの新作が並び、来場者との活発な商談が行われた。
着物業界全体の市況はなかなか好調とは言えないが、西陣まいづる新工房はとても明るい話題となった。西陣まいづるのより一層の飛躍が期待される。

株式会社西陣まいづる
住所:京都市上京区五辻通大宮西入五辻町39
電話番号:075-441-0001ファクス:075-415-0722

その他の記事

川島織物、悠久の美記念展:手織り動画付き

着物に必要なまゆの量

着物市場規模に関する調査2019年

西陣織美術工芸あさぎ大博覧会2017年