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職人は自分のデザイン力を信じるべき:京都デザインファクトリー

職人は自分のデザイン力を信じるべき:京都デザインファクトリー

ビロードアート 成願義夫展
株式会社京都デザインファクトリー
代表取締役 成願 義夫氏

10月2~7日、しまだいギャラリー(京都市中京区)にて「478年の時を超えて現代に蘇るビロードアート 成願義夫展」が開催された(協力:杣長(そまちょう)株式会社、日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社)。日本画家でもある成願社長が考える理念を、作品を拝見しながら伺った。

京都デザインファクトリー成願社長

◆天鵞絨(ビロード)と最新プリント技術のコラボ作品
ビロードとは織物の一つ。綿・絹・毛やポリ系のもので細かい毛を立てて滑らかでつやのある織り方。起毛の具合によってその表情は変化する。今回はこのビロードに転写プリントの技術を生かし、壁面装飾など様々な作品を発表する展示会となった。
「起毛素材は光を反射します。従って起毛の具合によってその表情は変わります。そうした偶然性を生かし、癒しや感動が生まれる自然な表現で壁面装飾を作り上げました。また今回の転写技術を利用するには、素材はポリである必要があります。そのため、ポリの素材でこれらの作品は生まれました。」と成願社長は語る。また転写技術であるため、絵画もプリントできるが写真もプリントできる。写真をプリントした壁面装飾、成願社長が描いた絵画をプリントした壁面装飾が並んだ。ビロードの起毛によって変化する風合い、偶然性が来場者を魅了した。また転写技術を活用するため、エンドレスパターンも作成可能。つまり小さな壁面装飾でも、大規模な壁面装飾でも自由な表現が可能となる。

◆ビロードを専門に製造を続ける杣長
ビロードを専門に製造を続ける西陣の杣長(そまちょう)。有名な化粧品メーカーのパフや液晶パネルの研磨用に利用されるコットンのビロードを製造するなど高い技術力を誇る。「ビロードでは、パフや研磨用のビロードなどを作成しておりますが、成願社長にアドバイスや提案を頂きまして、こうしたコラボ展示会を行う事が出来ました。」と杣専務は語る。会場では、商談がまとまるなど、活況のある展示会となった。

◆「職人や技術者はデザイン力を信じるべき」
「着物職人の方は、自分自身のデザイン力を信じていない方もいらっしゃいます。『綺麗ね』、『素晴らしいですね』とお客様にお褒め頂いても、買ってもらえなければ産業として成立しません。また着物市場から遊離しており、消費者の望んでいる商品と職人が作り出す作品が一致していないこともたくさんございます。注目を集めないと認知してもらえません。注目を集めるためには様々な新しい作品や、異業種とのコラボを進めていかなければなりません。そしてエンドユーザーのために良い商品を作る必要があります。エンドユーザーの皆様が喜ぶ作品を模索し、お客様が購入する理由を作らなくてはなりません。
私がアドバイスを行ったある金属加工メーカーは、新技術の普及により大きく成長されました。伝統産業を守りたいと考えております。一緒に考え、真摯にアドバイスを求められる企業様との出会いをお待ちしております。」と成願社長は語った。

筆者:松尾俊亮

問い合わせは下記より。

株式会社京都デザインファクトリー
住所:滋賀県大津市坂本5-14-19
TEL:077-572-6980

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